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がん治療に取り組む医療関係医者の皆様へ。その治療の先にあるものはなんですか?がん治療に前向きに取り組む患者の皆様へ。その治療が終われば苦しみからは解放されますか?サバイバーが増えれば増えるほど、多彩になっていく不安と苦しみ。がん患者の旅に終わりはなく、それに最後までつきあってくれる人は……いったいどれだけいるのでしょうか?<ワケあり患者・小春>
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 夏以来の更新になってしまいました。
 前回の話の続きは延々とあって、むしろ途切れなくありすぎて書くタイミングを逃し続けていたんだけど、ちょっと今日久々に病院にブチきれることがあったので、怒りが新鮮なうちに(笑)こっちの話を先に記録しておきます。

 少し前に、聖路加の放射線科の先生の紹介で「放射線の晩期障害による神経麻痺」なら唯一可能性のある治療があると言われ、とある大学病院の神経内科を受診した。
 その治療法とは「高圧酸素療法」。
 加圧した部屋に入って高濃度の酸素を体内にとりこみ、ヘモグロビンなしでダイレクトに血中に酸素が溶け込むようにするというものだ。
 潜水病とか一酸化炭素中毒とかがおもな適用対象で、放射線障害に対してはまだ効果が確定するところまでいっていないが、放射線による神経麻痺の症例も最近少しずつ増えているらしいというのでとにかく話を聞きにいくことにした。

 高圧酸素療法室は整形外科に付属しているが、まずは神経内科を受診してくれと言われて資料を持って神経内科へ。
 ところが、聞いていた話と随分トーンが違う。
 まず、「放射線障害の患者なんて来てない」って言うんだよね。
 聖路加の先生が××先生からそう聞いたっておっしゃってたんですけど…と言ったら「一緒に仕事してるんだから××先生の知ってることは私も知ってる。私の知らないことは××先生も知らない」と言われておしまい。

 さらに、「放射線の障害だって診断は何によってつけられたんですか?いや、べつにあなたの話を疑ってるわけじゃないですけど、検査データもないし、放射線治療をおこなった病院からの情報提供もないし」と言う。
 いや、それ私に言うの?
 前の病院が情報隠蔽して放り出されたから私こうして今難民になってるんですけど…。

 「とにかく、治療を受けるには診断名が必要なんですよ。診断するには検査が必要。ぶっちゃけ、放射線以外の原因で神経麻痺が起こってる可能性だってないとは言えないですから。治療が適用になるかどうかはそれからの話です」

 いやいや、昨日今日起こってる麻痺じゃないですから。
 検査だって受けられるものはとっくに受けたよ。
 それで他に異常がなかったから放射線としか考えられないってことになってるんだよ。
 手帳もそれで取得したんだから診断書はすでにあちこちでもらってるんだよ。
 でもL病院はうしろぐらいことがあるからはっきり認めてくれないんだってば!
 検査データは、CTと筋電図は一年以内に聖路加でとったものがあるから提出したけど、MRI、それも頸部のとなると7年前までさかのぼらないとない。
 それはL病院が持ってるし、5年以上たってるから処分されててもおかしくない。
 そんな簡単に持ってこられないよ。

 そしたらいきなり「入院してください」ですよ。
 今からMRIの検査予約入れるといつになるかわからないから、入院してキャンセル待ちを狙ってくださいという。
 で、キャンセル待ちの間に他の検査も入れられるだけ入れて〜、結果が揃って「あ、やっぱ放射線みたいだね」ってことになったら診断名つけますから〜、そこでさらに治療適用じゃね?ってことになったらさらに入院して治療受けてもらうということでどうでしょう。だって。

 いやいや、それいったいどのくらいのスパンの話なんですか?と聞いたら「まあ検査で2週間くらい?治療計画はそのあとに決めます」という。
 ちょっと待ってよ。
 まずそれ以前に、放射線障害だったとして、その高圧酸素療法は効果があるという見通しはどのくらいあるの?
 同じような症例でよくなった人が何人いるの?
 リスクはないの?
 今アクティブな「がん持ち」だけどそれには影響ないの?
 何回やれば終わるの?
 効果は何で測るの?
 その他もろもろ聞きたいことがいっぱいあって、まずはそういうことを聞きたくてわざわざ来たんだけど、そういう話すっとばしてまず「入院」なの?

 そう言ったら「それは私に聞かれても…。じゃあ高圧酸素療法室に直接行ってください」と言われて別の日に予約を入れられた。
 それが今日。

 この時点で違和感バリバリだったけど、まあとにかく話だけでも聞いてみようと今度は高圧酸素療法室を受診。
 ……いや、もうね。
 すごいわ。
 ザッツ大学病院的な対応とでもいいましょうか。
 ここまでとは思いませんでした。

 まずは一通り今までの経緯を聞いたその先生、「神経内科の先生のコメントには『通院は大変そうだから検査入院を勧めたけど同意を得られなかった』とある。なぜ入院しないんだ」ときた。
 だから〜!
 入院ってそんなに即決できることじゃないでしょ。
 しかも本当に必要で、かつ効果的な治療なのかどうか、まだなんにも確証がないのに。
 でもいくら話しても平行線。
 向こうにしてみれば「治療するかどうかを決めるのは医療者側であって患者側じゃない」という考えがあるんだと思う。
 つべこべいわずにまず検査受けろ。
 画像見せろ。
 データよこせ。
 話はそれからだ。
 の一点張り。

 でも検査だってリスクあるし、患者には負担なんだよ。特に身障者にはね。
 医者は患者を上から下までスキャナーにガーーーッと通せばたちどころに正解がモニタに表示されるとでも思ってるんだろうか。
 冗談じゃない。
 そんな簡単なら医者も患者も苦労しない。
 私は今までずっと「検査」と言われれば従ってきたけれど、受けた検査の数に見合うほどメリットが得られたとは思えない。
 それどころか、どんどん検査や治療が負担になる体になっていくばかり。
 そのツケを一人で払い続けている状態なのに、このうえまだ新しい借金をしろというのか?
 必要と思えばするけど、これ以上詳細な検査が必要とはどうしても思えなかった。

 結局この先生も神経内科の先生と言うことは同じだった。
 「放射線のせいかと思っていたけど検査してみたらすごく珍しい症例の病気がみつかるってこともあるかもしれないでしょ?もしそうだったら、この治療がそれに効果を発揮するかどうか研究することができる。それこそが大学病院の仕事ですから」
 こう言い切られたときには耳を疑った。
 研究材料としか見てないなんてひどい!
 …とは言わない。
 この先生の言う通り、大学病院とはそういうところだ。
 今さら驚かない。
 がしかし、この状況で患者に言うかね。
 ここまで身も蓋もなく。
 正直、治療内容に納得し、医師の人間性に信頼がおけるなら「研究材料」になってもかまわないと思っている。
 でもこれ聞いた瞬間「あんたの研究材料にだけはならないよ」と思った。

 なかなか納得しない私にイラついたのか、その先生はさらに本音をぶつけてきた。
 「ここで治療受けてる人たちはね、みんなきちんとした診断名がついた上でこの治療を受ければ効果が出るだろうというエビデンスに基づいて治療を受けてるんです。なんだか原因はよくわからないけどとりあえず治療だけ受けるなんて人はいません」

 え? 私、治療受けるなんてまだ一言もいってないですけど。
 まずどんな治療なのか説明を聞きたいってそんなにおかしいですか?
 治療内容や治療期間や副作用についてきけば「人それぞれ」とか「効果があれば続けるし、なければやめる」とかすごいアバウトなことしか言わないし、もう堂々巡り。

 「だいたいこれっぽちの情報で治療しろなんて無茶です。本来、治療した前の病院から25年分のデータすべてきっちり揃えてお願いしますって持ってくるのが筋でしょう。聖路加の先生だって困ったと思いますよ」
 なにそれ。
 私がごり押しして迷惑かけたみたいな流れになってるんですけど。
 私が悪いの?そうなの?

 あと「この機械は全国に数台しかないんですよ。たとえば関西にはないから、関西の人は受けたくても受けられないんですよ」とも言われた。
 最初は言ってる意味がわからなかったが、「この治療を受けられるのは選ばれた人たちなんだから希望すればひょいひょい受けられると思うな」ってこと?
 その一方で「たとえ放射線障害だったとしてもそんなに時間がたってたら効果を期待するのは難しいと思いますけどね」とか言ってんだよ。
 じゃあますます治療の意味ないじゃん。
 だいたい麻痺の出始めならともかく、15年もたってから他の可能性にこだわる意味がわかんない。

 あんまり資料資料言うんで、「それがもらえないから私も困ってるんです」と言ったら、「だから悪いのはL病院ですよ!麻痺が出始めた15年前の時点で原因を精査せずに放置したからこういうことになったんでしょう。でも今それを言ってもしょうがないからせめて今からあらたに検査し直しましょうって言ってるんですよ!」と逆切れ。
 うわー、ついに同業者批判まで出たよ。
 L病院の中でも同じこと言えたらたいしたもんだけど、関係ないポジだから言えるんだよなー。「医者の良心云々」言ってた某先生もそうだったよ。

 私もかなりイライラしてきて「L病院とは裁判までいきましたからカルテなら保全したものがありますよ。段ボール箱一杯」と言ったら「じゃあその段ボール箱持って神経内科に入院してください。徹底的に調べますから」。
 なに、このおとなげない売り言葉に買い言葉的レスポンス。。。
 読むわけないじゃん。
 100パーないよ。断言できる。当時の担当医ですら交代したら前のカルテ読んでないの丸わかりだったんだから。
 
 結局、帰って家族と相談してから決めると言って帰ってきたけど、この日のやりとりだけで「治療受けたい」と思わせる要素はみじんもなかった。
 もう帰ったらすぐさま診察券をシュレッダーにかけたいと思うほど腹が立っただけだった。

 なんなんだろう。この空しさ。
 この先生の言ってることがまったく間違ってるとは思わない。
 大学病院のスタンスや、原則論もわかる。
 ただ、あまりにもそれにしがみつきすぎだし、言い方も神経を逆なでしすぎ。

 べつに私だって最初から喧嘩しようと思って乗り込んできてるわけじゃなし、医者の心証を害して患者が得することなんてひとつもないのに。
 ただ少しでもこちらの事情によりそう態度があれば、たとえ言っている内容も結果も同じだったとしてもここまで気分悪くなることはなかったと思う。

 大学病院とかかわりをもたないようにしてから2年。
 離れていたからこそよけいに時代が逆戻りしたかのようなうすら寒さをおぼえた。

 今も決して体調はよくはない。
 最悪の覚悟も常にしている。
 それでも自分が受ける治療・受けない治療は自分で決めたい。

拍手[7回]

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お読みになる前に…
年が明けて、三度目のがんがみつかってしまいました。
25年間で新たながんが3回……さすがにこれはないでしょう。

がん治療ががんを呼び、また治療を勧められてがんを呼び……はっきり言って「がん治療」成功してないです。
私は「生きた失敗作」です。
医者は認めようとしませんが、失敗されたうえに「なかった」ことにされるのは耐えられません。

だから息のある限り語り続けます。
「これでいいのか?がん治療」……と。

漂流の発端をたどると1988年から話を始めることになります。
西洋医学の限界とともに歩んできた私の25年間をご覧ください。

別サイト「闘病、いたしません。」で第1部「悪性リンパ腫」から順次更新中です。
このブログでは第4部「乳がん」から掲載されています。最新の状況はこちらのブログで更新していきます。
プロフィール
HN:
小春
性別:
女性
職業:
患者
自己紹介:
東京都在住。
1988年(25歳〜26歳)
ホジキン病(悪性リンパ腫)を発病し、J堂大学附属J堂医院で1年にわたって化学療法+放射線治療を受ける。
1991年(28歳〜29歳)
「再発」と言われ、再び放射線治療。
1998年(35歳)
「左手の麻痺」が表れ始める。
2005年(42歳)
麻痺の原因が「放射線の過剰照射による後遺症」であることが判明。
2006年(43歳)
病院を相手に医療訴訟を起こす。
2009年(46歳)
和解成立。その後放射線治療の二次発がんと思われる「乳がん」を告知される。直後に母ががん転移で死去。
迷いに迷ったすえ、西洋医学的には無治療を選ぶ。
2013年(50歳)
照射部位にあたる胸膜〜縦隔にあらたな腫瘤が発見される。
過去の遺産を引き続き背負って無治療続行。
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