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がん治療に取り組む医療関係医者の皆様へ。その治療の先にあるものはなんですか?がん治療に前向きに取り組む患者の皆様へ。その治療が終われば苦しみからは解放されますか?サバイバーが増えれば増えるほど、多彩になっていく不安と苦しみ。がん患者の旅に終わりはなく、それに最後までつきあってくれる人は……いったいどれだけいるのでしょうか?<ワケあり患者・小春>
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 正念場な出来事が11月に終わった。
 できる限りのことはやった。

 案の定、乳がんのサイズは見事にリバウンドして大きくなっていた。
 あらためて、「もうストレスフルな仕事はできないな」「するなら命縮めてもいいと思えるくらいの仕事限定だな」と覚悟を決めた。
 4月にもうひとつ正念場があるが、これを越えたら「休む」というよりは、生活のすべてを「縮小」していかなければならないだろう。

 危険な状態を何度も繰り返しつつもなんとか風邪はひかずに持ちこたえているが、長期間にわたって続いた緊張がなかなかとれず、夏から続いていた食欲不振は12月半ばまで続いた(今は復活したが)。
 むくみは思ったほど悪化してないけれど、腕の重さは前よりもひどくなり、不眠や夜外出など、ちょっとでも体に負荷がかかることがあるとすぐに体中どこもかしこもギシギシ痛くなる。

 一人で身支度を整えたり電車に乗ったり食事をしたりするのに、どのくらいの時間とエネルギーが費やされ、どこでつまづくのか、自分でも予測がつかなくなってきた。
 ひどいときには、着替えるだけで疲れてしばらく動けなくなることもある。

 外へ出れば出たで、外見上は健常者と変わらないので、分刻みで襲ってくる障害とずっと戦い続けなければならない。
 人と待ち合わせをしても時間通りに指定場所に行けないことも増えてきた。
 そんなわけで、外出することへの敷居がどんどん高くなっている。
 もう鍼と通院以外はほとんどひきこもりモードだ。

 それでもリハビリ前には必ず一条先生(仮名)の診察を受けなければならない。
 あくまでも形式的なものにすぎないのだが、そうしないとリハビリが受けられない規則になっているのでしかたがない。
 しかし、今、病院が私にできることなんて何もないのだ。
 毎週毎週「どうですか」と聞かれても、「どうせ何言っても答えはわかってるし」と思うと何も言えない。

 なのに、先週は珍しくまともに愚痴ってしまった。
 多分、大丈夫じゃないのに大丈夫な顔をし続ける温度差に耐えられなくなっていたのだと思う。
 が、すぐに後悔した。

 一条先生には本当に感謝している。
 誰も診たがらない漂流患者である私を拾ってくれて、治療しないという意志をも尊重してくれて、主治医になってくれた。
 自分が治療した患者でもないのに、面倒な書類もいやな顔ひとつせずにたくさん書いてくれた。
 だから不満を言うつもりはまったくない。
 …と言いつつ、こんなことをこんなところで書くと結局文句を言っていることになってしまうんだろうけど、これは本当に言わずにはいられないので言わせてもらう。

 私につきささったのはこの言葉だ。

 「なくなったものばかり見ててもしょうがない。残されたものに目を向けて生きていかなきゃ」
 
 多分これ、特別なセリフではなく、多くの人がふっとなにげなく口にしちゃってる言葉だと思う。
 一見、もっともらしいし、事実正論なのだろう。
 でも、この言葉を言われた瞬間、私は「パンがなければお菓子を食べればいいのに」とマリー・アントワネットに言い放たれたパリの主婦と同じ気持ちになった。
 「パンもお菓子も食べ放題のあんたに言われたくないよ」
 という言葉が喉元まで出かかった。

 と同時に、「なくなったもの=なくなったもの」「残ったもの=残ったもの」というセパレートな考え方にまたまた西洋医学的思考の匂いを感じたのだった。
 「なくなったもの」と「残ったもの」は決して別々のものじゃない。
 「なくなったもの」は「残ったもの」の形も変質させている。
 「残ったもの」なんて言葉で簡単にひとくくりにしてほしくなかった。

 でもそんなことを言えば「だって自分には障害者の気持ちなんてわかんないし」「具体的にどうすればいいのかわかんないし」「自分には何もできないし」と返されて終わりになるのは目に見えている。
 というか、それに近いことをすでに口にしていたし。

 それって「何も言えない」んじゃなくて「何が言えるのか」「何を言ってはいけないのか」を考えることじたいを放棄してるんじゃないの?
 申し訳ないけどそうとしか思えなかった。

 先生は終始「なにをどうしたいの?」と答えをこっち側に求めてくる。
 それがどれだけ私にとって負担なのか、おそらく考えてもいないんだと思う。

 一人で動けないということは、常に他人に「判断を求められる」ということだ。
 「これ、どこに置きますか?」
 「これ、どっちを先に使いますか?」
 「これ、どうやって干しますか?」
 「これ、開けちゃっていいですか?」
 自分でできればいちいち考えなくてもいいことを、他人にやってもらうときにはすべて言葉にして伝えなくてはいけない。
 まあ、適当なときに気が向いたらそのときの気分で…という選択肢がない。
 それだけで日常生活クタクタなのに、そのうえまだ私に答えを出させようっていうの?

 ていうか、私は「こうしたらいいよ」なんてスッキリした「答え」を求めているわけじゃないんだよ。
 「答え」を出せるのは自分だけということも言われなくてもわかってますとも。
 でもそんなの簡単に出せるもんじゃないでしょ。

 ただ、疲れてるんだよ。
 ちょっとでもいいからシェアしてほしいんだけなんだよ。
 それだけのことなのになぜさらに上から新しい荷物を乗せてくるわけ?

 ネガティブなものをシェアすることに対して、どうしてみんなそんなにビクビクと及び腰になるんだろうか。
 「いいこともあるよ」
 「前向きなこと考えようよ」
 なぜ、そういうポジティブな言葉に逃げようとするのか。
 なぜ、ネガティブなことは「なかったこと」「触れちゃいけないこと」「見なかったこと」にしようとするのか。
 そんなことしたって人生はリセットなんてできないよ。
 昼間だって月は出てるんだよ。

 こういうこと書くとまた「先生はよかれと思って言ったんだろう」「悪気はない」「精一杯やっている」と擁護しようとする人が出てくるかもしれない。
 でも擁護することじたい、自分や自分の家族は絶対にそっちにいくことはない、安全圏にいると思ってる証拠なんだよね。

 大震災が起こってよくわかったはずでしょ?
 安全圏なんてないって。
 それでもやっぱりネガティブを排除する方法論しか持たない人は変わらないんですね。

 もう病院にも医者にも期待できないとあれほど思い知らされたのに、まだ期待を残していた自分にもがっかりしたよ。

 世の中から、「きれいごと」「言い訳」「開き直り」を除いたらいったい何が残るんだろうね。
 「言い訳」「開き直り」をまったくしないというのはそれこそ「きれいごと」かもしれないが、この3つの中で一番人を傷つけるのは間違いなく「きれいごと」だと思う。

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お読みになる前に…
年が明けて、三度目のがんがみつかってしまいました。
25年間で新たながんが3回……さすがにこれはないでしょう。

がん治療ががんを呼び、また治療を勧められてがんを呼び……はっきり言って「がん治療」成功してないです。
私は「生きた失敗作」です。
医者は認めようとしませんが、失敗されたうえに「なかった」ことにされるのは耐えられません。

だから息のある限り語り続けます。
「これでいいのか?がん治療」……と。

漂流の発端をたどると1988年から話を始めることになります。
西洋医学の限界とともに歩んできた私の25年間をご覧ください。

別サイト「闘病、いたしません。」で第1部「悪性リンパ腫」から順次更新中です。
このブログでは第4部「乳がん」から掲載されています。最新の状況はこちらのブログで更新していきます。
プロフィール
HN:
小春
性別:
女性
職業:
患者
自己紹介:
東京都在住。
1988年(25歳〜26歳)
ホジキン病(悪性リンパ腫)を発病し、J堂大学附属J堂医院で1年にわたって化学療法+放射線治療を受ける。
1991年(28歳〜29歳)
「再発」と言われ、再び放射線治療。
1998年(35歳)
「左手の麻痺」が表れ始める。
2005年(42歳)
麻痺の原因が「放射線の過剰照射による後遺症」であることが判明。
2006年(43歳)
病院を相手に医療訴訟を起こす。
2009年(46歳)
和解成立。その後放射線治療の二次発がんと思われる「乳がん」を告知される。直後に母ががん転移で死去。
迷いに迷ったすえ、西洋医学的には無治療を選ぶ。
2013年(50歳)
照射部位にあたる胸膜〜縦隔にあらたな腫瘤が発見される。
過去の遺産を引き続き背負って無治療続行。
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